佃屋には、変わったお客さまがたくさん来ます。
アクセスの悪い隠岐の、しかも港と反対側の海辺の村にある佃屋に来る人は、ほとんど旅慣れした人ばかり。
今回ご紹介するのは、「鱚を釣るために5泊」という予約をいただいたOさんのこと。
隠岐に釣りに来る方は大抵ヒラマサだったり根魚だったり、船で大物を狙うタイプがほとんど。
しかし、Oさんは鱚のみを狙って隠岐島内をぐるぐる回るつもりだという。
しかも五日間。
一体どんな人が来るのだろうと思っていた当日は、なんと台風のためフェリーは全便欠航。さらに飛行機も大阪便は欠航。
釣りのお客さんだし、キャンセルだろうなと思っていたら、なんと唯一動いていた出雲便で既に隠岐入りしているというではないでしょうか。
いつもこの時期に長い休みを取って釣り旅に来ている彼は、長年行きつけだった対馬を離れ、今回は11年ぶり、2度目の隠岐の島だという。
なんと11年前は、数日かけて西ノ島をシーカヤックで一周したんだそうな。
今はもっぱら海であまり誰も狙わない鱚を釣る旅となっているが、
かつては山登り、川カヤック、そしていまは海に辿り着いたんだそう。
日本各地を旅した経験のある彼、なんと唯一旅で滞在したことのある海外は「カムチャッカ」だという。
奇抜すぎる。
普段はキャンプで滞在することが多いということで、丁寧に使い続けているであろうアイテムで手際よく鱚を捌いたり、コーヒーで一服する姿はアウトドアの経験値の高さがうかがえた。
定年まであと数年のカウントダウンというOさん、それからはこんな優雅に旅に出ることなんかなくなっちゃうかなぁと言っていたけれど、彼はきっと旅に出続けるだろうなと私は感じている。
ちなみに、たろうさんはおそらくOさんを身内と勘違いしたようで、初対面からお部屋に遊びにいったり、膝に乗りに行ったりと、こんなに男の人になつくなんて!というほどの猛烈積極アピールぶりでした。
来年はシーカヤックで隠岐をまわりたいと言っていたOさん、逢えるのを楽しみにしております!
あぁ、長く滞在してくれたお客さんが帰ると寂しいなぁぁ