カツオとわたし

水族館に行った帰りは、お刺身が食べたくなるタイプである。

隠岐ではなく松江に暮らしている今、お魚をお目にかかる機会が減っていて、ある日ふとスーパーのお魚コーナーを見てテンションが上がっている自分に気が付いた。
お魚屋さんがイケている近所のスーパーには、その日水揚げされたいろいろな種類の魚が日ごとに様々に並ぶので、最近はお散歩がてらこれを覗きに行って、良いものを見つけたら購入するのが日課になっている。

なんと、ご近所に住むお魚突きの大師匠も、魚の姿を拝むためにこのお魚コーナー参りをするらしく、あぁやっぱりそういう血が騒ぐものなのか、と嬉しくなりながら、日々いそいそとそこを目指して出かけるのだ。

そして、中でも私が一番感動したお魚が、「いもカツオ」である。
巨大なサツマイモみたいな形をしているからなのかはわからないが、田舎くさいあだ名のような名前のこのカツオは、30cmちょいの小ぶりなカツオ。

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カツオなんていうのは、普段はなかなか一本買いできる機会のない種類のお魚なので、これはチャンスと思って購入してみた。
しかも価格は驚きの1本198円!!
これがまた、劇的なうまさなのである。

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ところで私とカツオのあいだには、たくさんのエピソード的な想い出がある。

小さい頃は、実家で祖父と父が釣ってきたソーダガツオをよく食べていた。
そんな新鮮なソーダガツオのお刺身は、きっとあたりまえに美味かったんだけど、幼かった上に、これがあたりまえと思っていたのであまり覚えていない。
いつか釣りに連れて行ってもらったとき、ソーダガツオはいちばんよく釣れる魚で、いわゆる「ハズレ」扱いだった気がする。

そして大人になったあるとき、三鷹のスーパーで買ったカツオの不味さに、こんな江戸には永くは住めないなと感じたことは今でも忘れない。
そもそも魚なんてものは買って食べるものではないのだ、釣ってきた日に食卓に上がるものなのだ、と自分を戒め、二度と江戸のスーパーでお刺身は買うまいと心に誓ったものだ。
それにしても、茶色かったなぁ、あのカツオの切り身・・・・

そして、忘れられないもうひとつのカツオ。
3年前に長崎へとチャリンコで行ったときに、さびれた商店でめちゃくちゃ美味しそうな、鮮やかな赤いツヤツヤのカツオのお刺身を見つけた。
旅先の商店でまさか刺身を買うことは想定していなかったが、あまりにも美しいその姿にもう我慢ができなかった。
案の定、そのうまさは衝撃だった。
しかし、もうこんなに美味いカツオに巡り合える機会なんていうのはそう訪れないだろうと覚悟し、いつかまたこの地を訪れることがあれば、必ずまたこの商店へやってこようとも心に誓った、想い出の味である。

そしてカツオからはしばらく想いを離して生活をしていた私に訪れたこのイモガツオ、正に青天の霹靂である。
今までの人生で、これほど青天の霹靂だった経験は思い出せないほど、青天の霹靂だったのだ。

今では見かける度にイモガツオを購入することにしている。
脂ののったそのお刺身は特上カルビに勝るとも劣らず、ホカホカのご飯が何杯でも食べられる、至福の極みなのである。
すごい、すごいよ島根!
そして、お魚を捌くという技術を身に着けておいて、本当に良かった。

世の女性たちよ、生臭さもグロさも乗り越えて、お魚を捌けるようになることを、心よりおすすめします。

▼小さいマグロなんかも売っていたりするよ!
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