昨年引っ越した新居の庭にて、立派な梅のなる木を発見した。
酒に甘さを求めない私は、「梅酒よりも梅干しだ」と梅を収穫し、早速塩漬けにした。
しかし、事件は起きる。
梅雨も半ば、ある朝、家の前で近所のおじさんに出逢う。
「立派な杏子のなる木だねぇ、採って、坊ちゃんにたべさしてやりなさいよ」
「・・・?」
確かに。青い実が黄色くなるのをまって収穫したけれど、
取り残した実をみてみると、更に粒は大きくなり、オレンジ色に色づいている。
これは、まぎれもない杏子だ。
引っ越したてのとき、この木にはツタが絡みついていてまったく元気がなく、花がロクに咲いていなかったこと。
なので、何の木なのかわからなかった。
それにしても、自身の無知・・・!
けれど、諦めきれず、塩漬けにしたこの杏子を天日干ししたところ、どうも良い感じなのである。
見た目は梅干しそのものだし。
それに、いくつかの偶然が出逢わないと、「杏子干し」を作ることなんてまず無いじゃないか。
(1)引っ越したてで、何の木かわからなかった
(2)梅干しと思って漬けたものの、杏子であることが判明
(3)それでも諦めずに仕込みを続けた
これが成功したら、「杏子干し」の第一人者になれるかもしれない。
その味わいは、こうご期待で。