「ハンバーグを無しにする」という選択肢は、有り得なかった。
数日前から、「遠足のお弁当にはなにを入れたい?」と希望を取り、前日も一緒に仕込みをした息子。
いざ蓋を開けたときそこにハンバーグが入っていなかったときの彼の絶望は、計り知れない。
とはいえ、昨日作ったはずのハンバーグはもうここに無い。
1つ残らずアイツに持ち去られたのだ。
「ネズミさんに持っていかれちゃったよ〜、ハハッ」
当然ながら我が子は、そんな現実を受け入れられるほどの精神力と私のギャグに気づく知性を持ち合わせた3歳児ではない。泣き崩れるか、トラウマになるかだろう。
しかし幸いなことに、彼はまだベッドの中。この事態は気付かれていない。
私は咄嗟に昨晩残った豚肉の薄切りを、ブレンダーに放り込んだ。登園まであと1時間、時間がない。
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てんやわんやだった朝の一幕を無事に終え、掃除をしていると、遠足へ向かう息子たちの列が家の前を通りかかった。
先生が「りんちゃん、朝からお弁当のお話ばかりしてますよ。ハンバーグとトマトですね♪」と。
私はあのとき諦めず、咄嗟の判断を下した自分を心の底から褒め称えた。
それと同時に、1週間前に購入したあのアイテムがもし我が家に無かったら、息子の心に大きな傷を作っていたかもしれない、とゾッとした。
わたし「本当に、あのときは焦りましたよ。コイツがなかったら、事なきを得ることはできませんでしたね…ミンチどころか玉ねぎもかたまりのまま入れるだけ、捏ねる手間と汚れもないし、洗うのだってこの専用ブラシを使えばホラ、とても簡単なんです。あとは期間限定で付いてくるこの付属の替え刃を使えば、大根おろしだって一瞬でできてしまうんですよ。今後はそうですね、普段はしないお菓子作りとかパン作りにも挑戦したい気持ちです、料理の幅がグッと広がったって感じです。みなさん、ブレンダーはもはや、一家に一台欠かせない時代ですね!さぁご購入は今すぐ!」
(なんかすみません、あの「青汁のCMだったんかーい!」というやつを、いちどやりたかったんです)
▼これは持っていかれたハンバーグ
本人もお弁当の感想を大喜びで述べてくれ、本当に良かった…苦労が報われたことも相まって、嬉しすぎて涙した母でした。
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